日本政策金融公庫の臨時的な融資制度の概要と必要書類
※この記事は令和2年4月13日に執筆しております。
世の中は新型コロナウイルスの影響で暗いニュースが続いています。
この状況がいつまで続くのかは予想も難しく、今影響がない業種についてもジワジワと被害が拡大していくことが考えられます。
そんな先行き不透明な状況だからこそ早めに手を打っておきたいのが経済対策です。
そこで今回は私自身クライアント様からの質問が多い日本政策金融公庫の臨時的な融資制度についてその概要をご説明させていただきたいと思います。
① 日本政策金融公庫が扱う『新型コロナウイルス感染症特別貸付』制度の概要
新型コロナウイルス対策として現在よく活用されているのが、政府系の金融機関である日本政策金融公庫が扱う『新型コロナウイルス感染症特別貸付』制度です。
ご利用いただける方の条件は「最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方」とされています。
「え⁉ウチはまだ創業して1年経ってないけど!」
という方もいらっしゃるかと思いますが、創業して3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少していることが条件になります。
- (1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含みます。)の平均売上高
- (2)令和元年12月の売上高
- (3)令和元年10月から12月の平均売上高
また、創業後3ヵ月未満の方は、残念ながら新型コロナウイルス感染症特別貸付のご融資はご利用いただけませんので、創業して間もない方向けの融資制度をご利用いただくことになります。
この『新型コロナウイルス感染症特別貸付』制度で特筆すべきなのは、何と言っても金利が優遇されていること。
当初3年間は金利0.9%の緩和が受けられます。
そして返済はすぐに始まるのではなく、最長で5年間の返済据え置き期間を設けることが可能です。
② 実質無利息で融資が受けられる⁉『特別利子補給制度』について
さらに諸条件を満たしている場合は『特別利子補給制度』を利用することができ、当初3年間は実質無利息となります。
つまり、上記の日本政策金融公庫の特別貸付は無利息ではないので、借入額に応じた利息が発生するわけですが、その利息分を国の方で助成金として補助してくれる、という制度ですね。
この実質無利息の諸条件は(今時点の段階では)、上記特別貸付の条件に加えて
- (1)小規模事業者は売上高▲15%以上
- (2)中小企業者は売上高▲20%以上
となっています。
また、個人事業主は「要件なし」となっていますので、上記特別貸付を受ける場合は無条件でみなさんが受けられる(実質無利息になる)ということになります。
(※1)小規模事業者とは、卸・小売業、サービス業は「常時使用する従業員(*)が5名以下の企業」、それ以外の業種は「同20名以下の企業」をいいます。中小企業者とは、この他の中小企業をいいます。
(*)労働基準法上における「予め解雇予告を必要とする者」(※2)売上高要件の比較は、新型コロナウイルス感染症特別貸付で確認する最近1ヵ月に加え、その後2ヵ月も含めた3ヵ月間のうちのいずれかの1ヵ月で比較します。
この特別利子補給制度の具体的な手続きや実施機関などについては、詳細が決まり次第、中小企業庁ホームページ等で公表されるとのことです。
③ 『新型コロナウイルス感染症特別貸付』のお申し込み時の必要書類
お申し込み時に必要な書類は、
- 借入申込書
- 法人の登記事項証明書の原本(個人事業主の方は印鑑証明書)
- 代表者個人の印鑑証明書
- 納税証明書
- 直近3期分の税務申告書・決算書
- 最近の売上高が把握できる資料(試算表・売上台帳等)
とのことです。
※上記については一般的な必要書類なので、別途追加の資料が必要になるケースもあります。
④ あくまでも借入であるということ
今回の新型コロナの影響を予想することは難しいです。
この制度はあくまで融資であり返済の必要性がある点にご注意いただきたいと思います。
特に法人で借入をする場合「無担保・無利子の借入」といっても、実際には会社の代表者が「保証人」になるケースが殆どではないかと考えられます。
その場合は、法人で借入の返済ができない場合、法人は破産し、社長個人が借入の返済をすることになります。
この制度を利用する場合は、その点を踏まえ、融資担当者や顧問税理士としっかりと相談したうえで融資を受けていただくのがよろしいかと思います。
みなさん苦しい時期かと思いますが、なんとかこの危機を乗り越えていただきたいと思っています。
私もクライアント様にはできる限りのサポートをし、給付金や補助金を含め、様々な情報提供をしております。
このコラムも皆さんのお役に立てたら嬉しいです。一緒に頑張りましょう!