車検に行ってきた話。

今月は、自動車検査登録制度の継続検査(これ「車検」の正式名称だよ)を受ける時期なんだ。
今回は車検専門店なる整備屋さんと、自動車メーカー直営店(つまりディーラー)の二か所に見積もりを取ってみた。そうしたら、びっくり。安いねぇ、専門店は。
あくまでも素人の想像だけど、車の品質がいいからだよね。
日本の工業製品は、作りが標準化されている。
標準化されているから、整備しやすい。整備のしやすさまで含めて、車の品質だ。
維持費の安い日本の車、素晴らしい。自動車大国、日本。いいじゃん。

もう一つ、びっくりしたことがある。
エアコンのフィルタは、素人でも替えられるんだね。
整備担当のお兄さんが、助手席の下あたりから、四角い箱を取り出したんだ。
そして、「はい、これがエアコンのフィルタ。ずいぶん汚れているね。」と教えてくれた。

交換の仕方を教えてしまうと、整備屋さんとしては商売にはならない。
でも教えてくれた人に対する、信用は増す。
僕はそんな、目先の利益よりも信用を大切にする専門家になりたいな。

教えてしまうと、商売にはならないけど、信用は増す。
そんな項目は、税理士の商売にもある。
それはね、申告書を書く作業。

税理士の仕事は、全体像は、こんな感じ。
○お客さんから領収書を預かって、○整理して、○節税案を考えて、○毎年の利益金額を出して、
○その利益金額をもとに申告書を作る。
そんな仕事。
それらの作業の前半、
つまり、「お客さんごとの都合に合わせて、帳簿付けたり、利益計算する」の部分は難しい。
知識や計算、それにコミュニケーション能力が必要になるから。
その後の、「利益が出たから申告書を書きましょう」、という段階は判断はいらない。
手順は複雑だけれども、機械的な作業。今風に言えば、人工知能(AI)にもできる仕事だ。
だから将来的には、申告書を書く作業は税理士がやらなくなるかもしれない。
税理士の仕事は、利益計算までになるかも。
そこから先は、社長(納税者)自身が、AIを活用して書くようになるかもね。

ところで、もう10年前くらいの話だけれど、AIの進歩に関する論文が話題になった。
そこには、「税理士は10年後には無くなる職業」って予言されていた。
僕もその論文を読んでみたよ。そうしたら、なんだ大したことないな。
その論文で無くなるといっている業務は、利益金額から申告書を書く作業だけ。
税理士の仕事の全体が無くなるって話ではない。

僕の思うに、申告書作成は面倒ばかりだ。仕事として面白くはない
だから、早く無くなってしまえばいいと思う。でも無くならないねぇ。
その論文の発表は2014年。もう10年以上たっているのに。
AIが進歩するのは、全ての人にとって利益のあること。
「AI大国、日本。いいじゃん」と言える世の中が早く来るといいな。
そのためには、AIの技術者さんたちには、頑張ってほしいなぁ。

車検屋さんの話に戻るね。
整備のお兄さんは、僕にエアコン・フィルタの交換方法を教えてくれた。
それは、お兄さんにしかできない仕事があるから。
安全にかかわる部分、例えばブレーキ関係とかは、専門家であるお兄さんに任せる。
素人の僕は、触らない。

それと同じことだ。
AI の技術が進んで、AI
が申告書を書くようになれば、税理士の業界には激震が走ると思う
でもそんな状況になっても、税理士として研鑽を積んでいれば、対応できるはずだ。
つまり、税理士だから出来ることとか、僕にしか出来ないことを準備しておくことだ。
僕はもうすぐ60歳。僕が現役のうちに、AIで申告書を書く時代は来るのかしら?
僕はAIというものは良くわからないけど、税務とITのことならわかる。
AIの進歩のために、必要なら、協力したいなぁという気持ちもある。

「日本は自動車大国で、AI大国」と、自慢できる日が、早く来て欲しいね。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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