付加価値の分配

企業の存在意義は利益を生み出す事だけではありません。
付加価値が重要となります。

勿論、利益を生み出さなければ、利益を生み出す事に従事した皆さんも経営陣も何の成果報酬もないことになります。
これは利益をあえて求めないボランティアという事になります。
企業が利益(付加価値の源泉)を得たら、その利益を全て使い果たしていい物でしょうか?

使い方には3通りあると考えています。

  1. 利益を生み出すのに尽力した労力と活動に報いる > 給与賞与、金利利払、配当、税金等
  2. 社内留保 > 翌年度以降投資の財源として蓄える。て行く > 自己資本率UP
  3. 先行投資 > 将来の事業の種に投資、更なる付加価値を将来もたらす

1.は利益をもたらした全ての人への還元です。
これは従業員のみならず企業がその営みを行う自治体への税金や、運転資金という形でさせてくれている金融機関への金利、または将来のICSTに期待を持ち先行投資してくれている株主なども含まれます。

2.の社内留保とは自己資本力を高め将来の投資または将来の危機に備えた蓄財の事です。
この蓄財が少ないと緊急的に資金需要が増した時や思い切った将来への投資をする際に協力関係にある金融機関の評価により資金が集められないという事が起こり得ます。

自己資本率は少なくとも30%以上、欲を言えば50%超を狙うくらいの計益を蓄積することで企業評価を上げ、安定して外部からの支援を受けやすくすることを狙うべきです。

3.の先行投資は、毎年1.2.を差し引いても必ず実施すべきものと私は考えています。
将来に向かった投資が出来ない企業は現状維持か衰退を余儀なくされます。
何故なら商品サービスは未来永劫同じものは継続せず世界の流行り廃りや経済の大きな変革や嗜好の変化や生活環境の変化によりビジネスは変化をしてきているからです。

考えても見てください。
江戸時代から第2次大戦終了直後の1945年頃までは日本のビジネス大半は1次商圏で成り立っていました。
それから約80年の間にコンピューター技術、半導体技術の進歩、交通インフラの変革により商圏は一気に2次、3次まで広がりました。
しかもインターネットというとんでもない概念が生まれ技術革新で世界は24時間、365日繋がり、そのことが新たな産業や流通を起こしている事は実感をしてるかと思います。
既に商圏という枠を超えた流通が始まっています。
更にサービスも商品も変わるサイクルが加速的に早くなってきているという事です。
この環境変化に対応するには新たな投資をしてゆかなければ対応が出来なくなります。
ダーウィンの進化論でも「強いものが生き残るのではなく、周りの環境に適用出来たものだけが生き残り進化してゆく」という事と同じです。

即ち、「企業が生み出した付加価値は分配されるという事」が基本となり、その分配が行われると経済循環が起きるのです。
このように考えると企業の究極的な姿は「利益を生み出すのではなく、生み出された付加価値をどのよう分配するかという事」にその企業の発展と社会への使命責任がかかっていると考えざる得ません。
即ち「経済循環を興す事」はこれを実践することに他なりません。

1次商圏:お客様・サービスの利用者様が店舗や会社に到着するまでに10分〜15分程度かかる範囲の商圏を指す、「最寄品商圏」、徒歩の場合はおおよそ800m〜1.2km程の距離となります。
2次商圏:顧客の来店までの所要時間が自転車で10分〜15分、3km〜5kmの距離である。
3次商圏:3次商圏は、顧客の来店までの所要時間が車や電車で30〜40分。

2023.4.10朝礼講話  橫井博之

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
情報発信したい方はお気軽に 事務局へ ご連絡ください。