2020/01/14 投稿

クリエイターの方々にとっては契約書や注文書こそ生命線!

行政書士大森法務事務所 代表 大森靖之

クリエイターの方々から「発注者の意向に沿ってきちんと仕事をしたのに納品後に制作料金を値切られるのを防ぐにはどうしたらよいのか?」というお悩みを耳にすることがあります。
そういったときに武器になる契約書/注文書について解説したいと思います。

 

1.値切られないようにするためには?

それでは、値切られないようにするためにはどうしたらよいでしょうか?
その前に、「値切られてしまう原因」を考えてみたいと思います。

これまでに様々な分野のクリエイターの方々とお話をしてきましたが、その原因として大まかに次の二つが浮かんできます。

  • 発注者がはじめから「額面」どおりに支払うつもりがない
  • 発注者が制作物に「納得」しない

 

2.発注者がはじめから「額面」どおりに支払うつもりがない

これは本当によくある話で、支払うつもりがない発注者ほど、「口約束」で済ます傾向にあるようです。

「言った言わない」の話に発展すると「悪意」のある発注者の思う壺。
そういう発注者は「証拠がなければクリエイター側が弱い」ことを知っています。
こうしたことがないように、業務着手前までに契約書を締結して、「額面」の合意をして証拠を残し、自己防衛を図るべきです。

 

3.発注者が制作物に「納得」しない

発注者が制作物に「納得」しない原因はどこにあるのでしょうか?

私は、制作物の「ゴールイメージ」が共有できていないところにあると考えています。
発注者とクリエイターとの間のイメージがぴったり合っていれば、発注者は気持ちよく納得してくれるはずです。

しかし、ここで難しいのは「イメージ」ということ。
発注者とクリエイターがそれぞれの頭の中で思い描いている段階では、共有はできません。
仕様書のような形式できちんと言葉にして(言葉にすることが困難な場合には絵コンテやスケッチにして)、「カタチ」のあるものとしてイメージ共有をしておく必要があります。

 

4.最終的には契約書に

このコラムをお読みいただいているクリエイターの方々は、「個人」としてご活躍されておられる方も多いかもしれません。
しかし、「個人」とはいえ消費者ではなく事業者であるということを忘れてはなりません。

事業者であるならば、自分のことは自分で守らなければ誰も守ってくれない(自己責任)というのが、法律の世界の常識です。
自分で守るための武器となるのが契約書です。
やはり「額面」と「イメージ」の共有ができたら、契約書を作成して、相手にハンコを押してもらうようにするのが「泣き寝入り」を防ぐための王道です。

 

5.契約書が無理なら注文書でも

しかし、「業界の慣行的に契約書を結んでくださいとは言いづらい…」というお話もよく耳にします。

そのような場合は「発注書を出してください」であれば、少しは言いやすいのではないでしょうか?
「発注書」というタイトルであっても、相手のサインやハンコがあれば、通常は契約書と同じ法的効果が発生します。

「発注書」には、最低限こんなことを書いておくとよいでしょう。

  • 発注内容(何を制作するのか、何をデザインするのか。ケースに応じて仕様書、絵コンテ、スケッチなどを添付して可能な限り詳細に記載)
  • 納期(相手の指示による納期の延期は)
  • 対価(消費税込みの金額か消費税抜きの金額なのかもハッキリさせておく)
  • 支払方法(銀行振込の場合は手数料をどちらが負担するのかまで記載するとなお良い)
  • 支払日

これは「最低限」の自己防衛策ですので、やはり、きちんとした内容の契約書を準備しておいて、案件の都度取り交わすのがベストです。

 

6.最後に

時間と労力をかけてすばらしい制作物を創り上げても、発注者から代金が支払われなければ苦労が報われませんし、発注者にいつまでも「納得」してもらえないのは気持ちのいいものではなりませんし、その後の創作意欲にも影響してきてしまうのではないでしょうか。

この機会にぜひ契約書面を整備され、無用トラブルに巻き込まれる可能性を極力排除し、クリエイティブな活動に全精力を使っていただきたいと思います。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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