2020/03/23 投稿

契約書でうっかりミスをしやすいポイント

行政書士大森法務事務所 代表 大森靖之

新しい年度がはじまるということもあり、春は契約書の取り交わしが多くなる時期でもあります。
この時期は、契約書のチェックの仕事も増えてくるのですが、よく「赤入れ」する部分、つまり、うっかりミスをしやすいポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

 

① 誤字脱字、変換ミス

年度の切り替わりの時期は、忙しいもの。
誤字脱字はもとより、変換ミスも多くなる時期でもあります。
本委託業務とすべきところを、本遺体業務とされていた、ちょっと笑えないケースも過去にはありました。

 

② 表記揺れ

例えば、

本件製品・本製品
および・及び
もしくは・若しくは
本件業務・本業務・本件委託業務

など、同じ契約書の中で表記が混在していることがよくあります。
複数の契約書から、いいとこ取りで切り貼りにて、契約書を作成していることが原因であることが多いです。
文意に大きな影響を与えないことが多い場合が多いのですが、表記揺れが目立つ契約書は、相手にいい加減な印象を与えてしまいますので、契約書は会社の「顔」ともいえることから、避けたいものです。

 

③ 引用条文

契約書で、

「●●については第17条の規定を準用する」

など、他の条文を引用していることを見かけたことはないでしょうか。

②のところで述べた、切り貼りをして契約書を作成した際に多いのですが、切り貼り元では確かに「17条」だったのが、切り貼り先の、相手方と実際に取り交わしを行う契約書では「13条」が該当するのに、修正せずそのままというケースがあります。
間違った形で引用されてしまうのですから、あべこべな内容となってしまうことは容易に想像つくかと思います。

 

④ 法令用語の使い方

法令用語の使い方を誤ってしまうと、たった一文字でも意味合いに大きな差が出てしまうこともあるのが契約書の怖いところです。

例えば、

「その他の」・「その他」

のケース。

どちらも、その直前にある語の例示として、より広い意味の語を引き出す言葉ではありますが、法令用語の「その他の」は包括的例示、「その他」は並列的例示と呼ばれ、使い分けがされています。
「その他の」は、直前に置かれた名詞が後に続く内容の広い言葉の一部をなすものとして、その中に含まれる場合に用いられます。
例えば、「鈴木さんその他の社員」と書かれている場合には、鈴木さんはその他の社員に含まれます(包括的例示:含まれる)。

一方、「その他」の場合は、その語の前後の語句は独立していて,後に続く語とは別個の概念として並列的に並べる場合に用いられます。
「佐藤さんその他社員」という場合には、「佐藤さん」と「その他社員」は別個の概念なのです(並列的例示:含まれない)。

たった「の」一文字で、意味合いに大きな差がつく一例です。

 

⑤ 相手方の役職名

年度切り替わりのこの時期に多いミスとしては、相手方の役職名が挙げられます。
相手方に社長交代があったにもかかわらず、前の社長名のままとしてしまったり、専務取締役から代表取締役に昇格しているのにもかかわらず、前の役職名のままとしてしまったりは、失礼にあたりますので、細心の注意を払いたいところです。

 

以上、よくありがちな契約書のミスを挙げてみました。

ご参考になれば幸いです。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
情報発信したい方は事務局までお気軽にご連絡ください。