2019/12/16 投稿

年末に確認しておきたい契約書の有効期間

行政書士大森法務事務所 代表 大森靖之

1.はじめに

年末、年度末となると契約書の有効期間に関する相談が多くなります。
誰しも「契約書の調印はキリのいい時期に」と思うもので、とりわけ「年始(1月1日)」や「年度始め(4月1日)」とすることが多く、継続的な取引を前提とする契約書の場合は年単位とするのが通常ですから、「年末(12月31日)」や「年度末(3月31日)」に期間満了となるケースが多いのです。

 

2.よもやの有効期間切れ

新年や新年度を迎え、あらためて契約書を確認してみたら「2年前に有効期間が切れしまっていた…」というケースは、笑い話のようですが、実はよくある話です。

取引基本契約書のように、当事者間での取引の全般的なルールを取り交わしておいて、実際の受発注は個別契約(注文書の交付など)で行うというケースではあまり問題にならないこともありますが、いずれにせよ「契約書の有効期限が切れているのに放置する」というのは、法的に望ましいものではありません。

最悪のケースでは「契約違反」として相手から多額の損害賠償を請求されることもあり得ます
特に、代理店契約書、フランチャイズ契約書、ライセンス契約書など「相手のブランドや権利に乗っかる」ような契約の場合、「契約違反」には多額の違約金が設定されているケースもあります。
思わぬところで高額の出費を迫られ、年明け早々経営危機に陥ってしまうということになりかねませんので、注意が必要です。

 

3.重要な契約書だけでもチェックを

このように、見過ごされてしまいがちですが、有効期間はとても重要です。
年末の今だからこそ、新年を迎えて気持ちよく業務が開始できるよう、せめて重要性の高い契約書だけでも有効期間が切れていないか、ご確認いただければと思います。

 

4.このようなミスを防ぐには

有効期間が自動更新の条件となっていれば、「有効期間切れ」は防ぐことができます。
自動更新の条件とは具体的には以下の通りです。

 

本契約の有効期間は、本契約締結の日から●●年●●月●●日までとする。

ただし、期間満了の●ヶ月前までに甲乙いずれからも相手方に対して本契約終了の

申し出がないときは、本契約と同一条件で更に1年間延長されるものとし、以後も同様と>する。

 

ただ、「有効期間切れ」のミスは防げるものの、逆に「解約のし忘れ」によるミスが発生してしまいますので、注意が必要です。
「3ヶ月前までに解約通知をするのを忘れたせいで、また1年分の代金の支払が発生してしまった…」となってしまうことのないように、契約期間の管理は徹底しましょう。

 

5.契約書を延長するには

当事者間で同一条件での契約の延長を望む場合は、再度同じ契約書を巻き直してもいいのですが、実務上は以下のような覚書を締結し、簡易的に済ませることが多いです。

 

覚書

A社(以下「甲」という)およびB社(以下「乙」という)は、甲乙間で●●●●年●●月●●日付にて締結した△△契約書(以下「原契約」という)につき、●●●●年●●月●●日付をもって以下の通り変更することに合意する。

第1条 原契約第▲条の有効期間を〇〇〇〇年〇〇月〇〇日まで延長する。

第2条 前条による他は原契約に修正および変更は行わない。

本契約の成立を証するため、本書2通を作成し甲乙記名押印の上、各一通を保有する。

※覚書の記載方法・表現は様々考えられますので、あくまで一例としてご参照ください。

 

6.さいごに

上述のように、契約書の有効期間はとても重要です。
「有効期間切れ」の問題もそうですが、どういうわけか「空欄」が散見される契約書をしばしば見かけます。有効期間に限った話ではなく、契約書の「空欄」はトラブルの元です。
本コラムをひとつのきっかけに「空欄をきちんと埋める」ことも徹底していただければと思います。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
情報発信したい方は事務局までお気軽にご連絡ください。