「代金を回収する」ことを考えてますか?

起業家は、マーケティングや営業などの「仕事を取る」「攻め」のことについてはとても興味を示します。

しかし仕事が完了した後に「代金を回収する」「守り」の部分については、つい後回しになってしまっている、あるいはそこまで気が回らないという方も多く、蓋を開けてみたら取り返しがつかないことになってしまっている、という残念なケースがしばしば見られます。

先日の伊藤氏の起業コラムにもありますとおり、「どんなに立派なビジョンを持っていても、お金が無くなればそれで終わり」という厳しい現実があります。

私も契約書の専門家として起業家の相談に乗ることも多いのですが、
「創業したばかりなので契約書などいらないですよね?」
と質問されることがあります。果たしてそうでしょうか。

もし、契約書が「ない」取引で運悪く揉め事が発生してしまった場合には、法律(民法など)に基づいて処理することになります。

 

その法律では、代金の支払いについて、大まかにいえば、

「商品orサービスを顧客に納入し、顧客がOKした後の一括払い」
つまり「完全後払い」が法律の原則です。

また、

「法律で定められた原則ルールが嫌なら契約書を使って当事者間で特別な取り決めをしておきなさい」

というも法律で定められていることですので、「前払い」という例外的な処理とする場合には、契約書が必須となります。
この点に気づいていない起業家の方が非常に多いです。

 

「潤沢な資金が手元にある」というなら別ですが、多くの起業家の場合、少ない資金で運営しているのが普通ですので、持ち出しが発生するような取引では、「前払い」してもらえないと死活問題となってきます。

「資金繰りがマズい」となり、急ぎ顧客に「前払い」を要求したとしても、契約書なしの取引では、上記のごとく法律の原則が「完全後払い」ですから、「支払いません」と言われればそれで終わりということになりかねません。

 

少々極端な例に感じるかもしれませんが、これが現実でもあるのです。
潤沢な資金が手元にない創業時こそ、契約書は必須ということがお分かりいただけましたでしょうか。

契約書を使って、手元に現金が残る仕組みを創業時から構築しておくと、軌道に乗るのも早い傾向にあるようにも感じています。

このような、起業家の方にとっては切っても切れない関係にある契約書。
今後も、実戦的な知識やテクニックを掲載していく予定ですので、お楽しみに。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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