トラブルに繋がりやすい契約書の特徴

1.はじめに

取引開始にあたってせっかく契約書を取り交わしたのに、残念ながらトラブルになってしまう例が後をたちません。
トラブルに繋がりやすい契約書について、まずは、起業家の方々がよく取り交わす契約書ごとに、まずは具体的にみていきます。

 

【売買契約書】
  • 型番がカタログ、見積書等から正確に契約書に転記されていない
  • 数量や単価が間違っている
  • 引渡しの期日(納期)が空欄になっている
  • 価格が消費税込みなのか、消費税別なのか不明確

 

【業務委託契約書】
  • 業務範囲が明確になっていない
  • 納品後の委託者による検査の基準や期間が記載されていない
  • 何をもって仕事の完成とするのか基準が曖昧
  • 再委託についての基準が定まっていない

 

【コンサルティング契約書】
  • サービスの内容・範囲がアバウト
  • 報酬の算出基準が曖昧
  • 成功報酬とするケースにおいて、その「成功」の定義が曖昧

 

【土地売買契約書】
  • 地番や面積が正確に記載されていない
  • 「㎡」と「坪」が混在している
  • 売買価格が空欄になっている

 

【ホームページ制作委託契約書】
  • どのような内容のホームページの制作を依頼するのかが明確でない(仕様が具体的に定まっていない)
  • 完成期日が決められていない
  • 仕様通りに動作しなかった場合の責任の所在が曖昧

 

2.トラブルに繋がりやすい契約書の特徴

上記からトラブルに繋がりやすい契約書の共通点・特徴を紐解いていきますと、

①取引の対象物(目的物)がアバウト
②金額がアバウト
③期日がアバウト

に集約できるのではないかと考えます。
取引に際して、契約書のひな形を活用される起業家の方々も多いと思いますが、①~③のいずれも、その雛形においては空欄となっている部分でもあります。

 

3.実は難しい空欄の埋め方

アバウトな記載だらけだったり、空欄ばかりの契約書では「実態のない契約書」となりかねません。
せっかく手間を掛けて契約書を取り交わすのであれば、効力のある契約書、言い替えれば、相手との間でいざこざが生じたときであっても、当事者同士での紛争の道筋を示す契約書としたいものです。
契約書は「細かいこと」が重要です。
それぞれの空欄の意味を正確に読み取り、アバウトな記載や、空欄のままで放置するのではなく、取引の実態に即して正確に記載することを心掛けていきたいものです。
「空欄への正確な記載の仕方が分からない」という場合には、専門家に相談することも検討してください。

 

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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