商談で見込み客から質問されやすい契約書のポイント

契約書について、起業家の立場からすると、取りっぱぐれなどのトラブルを予防するために取り交わす文書というイメージが強いかと思います。

一方、見込み客からすると、起業家が本当に商品やサービスを期日(納期)までに提供してくれるのか、特に初回取引においては実はとても不安なのです。
起業したばかりであればなおさらです。

契約書は商談全体の流れの中でいえば、クロージングの時に取り交わすものです。
見込み客は上記のごとくの不安を抱えていますので、目の前の起業家に対して、契約書に書いてあることについて、色々と質問をしたくなるものです。
大金を支払うような取引であればなおさらです。

商談をキッチリと締めくくり、見込み客が顧客となるよう、起業家こそ、見込み客と取り交わす契約書について、日頃から理解を深めておきたいものです。
競争力のある商品・サービスを開発し、商談が上手くいったのに、契約書への理解が浅いために、仕事が取れないというのは残念すぎます。

「それは分かるんだけども、契約書に書いてあることは難しい!

との声が聞こえてきそうです。その気持ちもよく分かります。

そこで、これまで実際に起業家からのご相談に乗る中で分かってきた、商談時に見込み客からよく質問される項目について、いくつかあげておきたいと思います。

 

① 契約金額

見込み客が一番気になるのは何と言ってもお金に関することです。
その金額をはじき出した根拠と相場観、そしてその金額を支払うことによって見込み客が得られるメリットを頭の中で整理しておくとよいでしょう。

 

② 商品やサービスの具体的内容

見込み客としては、お金を支払うことにより何が得られるのかを具体的に知りたいものです。
言葉だけでは伝えるのが難しい商品・サービスの場合には、イメージ画像のあるパンフレットなどを事前に用意しておくとよいとよいでしょう。
オリンピックのピクトグラムではないですが、相手に伝える際、「絵」の力は強力です。

 

③ 納期

いつまでに商品やサービスが提供されるのかについても見込み客としては気になるところです。
なお、見込み客からの指示や素材の提供がないと納期が遅れる可能性がある取引なのであれば、その指示などがない場合には、納期が遅延しても起業家は責任を負わない旨記載しておくことも大切です。

 

④ 損害賠償の範囲や金額

損害賠償の範囲や金額に制限をかけている契約書の場合には、見込み客からなぜ制限がかけられているのかの質問がされることがあります。
というのも、見込み客からすれば上述のごとくの不安がありますので「もし納期までに商品・サービスが提供されなかったら起業家の責任なのに自分のせいにされてしまい、会社での立場が危うくなる」と考えるものです。

このような条件のある契約書の場合は、事前になぜその制限する必要があるのか、頭の中を整理して合理的な理由を見込み客に説明できようにしておくことが重要です。

 

⑤ 免責事項

企業側の責任が免除されるような条件も見込み客から質問されやすい項目です。
④同様、合理的な理由を見込み客に説明できるようにしておきましょう。

 

以上のように、見込み客から質問されやすい箇所はある程度絞れるものです。

企業活動において、法律は非常に重要です。
しかし、その全てを学ぶには多大な時間を要します。

起業家はただでさえ忙しいですから、上記を参考に契約書に関することはポイントを絞って学ぶとともに、ケースに応じて専門家の指導を仰いでいくことをお勧めします。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
情報発信したい方はお気軽に 事務局へ ご連絡ください。