契約書に間違った額の収入印紙を貼ってしまった場合の対処法など

1.はじめに

起業家の方々からの契約書に関する質問で、多数を占めるのが実は収入印紙に関するものです。
収入印紙の正体や、契約書に貼るべき具体的金額については、以下のコラムをご参照ください。

【200円を貼れば大丈夫?起業家が知っておくべき印紙の話】
https://saitama-kk.org/column/200円を貼れば大丈夫?起業家が知っておくべき印紙の話/

 

今回は、収入印紙に関して、知っておいて損のない知識として、以下の2つの制度を紹介します。

  • 収入印紙の交換制度
    収入印紙を購入したが、相手方の都合で契約がキャンセルとなってしまったケースなどでの活用が想定されます。
  • 印紙税の還付制度
    「印紙を貼らなくて良かったのに400円の印紙を貼ってしまった!」
    「200円の印紙で良かったのに4000円の印紙を貼ってしまった!」
    などのケースでの活用が想定されます。

 

2.収入印紙の交換制度

収入印紙の交換制度は、郵便切手等と同様、郵便局で交換手数料を支払うことで、他の収入印紙と交換できる制度です。
収入印紙が未使用の場合や、白紙や封筒など明らかに印紙税の課税文書でないものに貼り付けられた場合、利用可能です。
なお、「未使用の収入印紙」とは、消印が押されていない収入印紙を指します。
収入印紙は郵便切手等と同様、返品や払戻が原則としてできませんので、特に高額な印紙を購入する際は、注意が必要です。

収入印紙の交換制度の詳細は、以下国税庁のホームページをご参照ください。
【収入印紙の交換制度】
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/07/01.htm

 

3.印紙税の還付制度

上述の
「印紙を貼らなくて良かったのに400円の印紙を貼ってしまった!」

「200円の印紙で良かったのに4000円の印紙を貼ってしまった!」
などのように、課税対象の書類に誤って収入印紙を多く貼ってしまった場合は、

印紙税の還付制度(多く納めた税金を返してもらうための手続)の活用を検討してみてください。
具体的な手続方法としては、「印紙税過誤納確認申請書」を作成して所轄の税務署に提出することとなります。
なお、提出期限は、過誤納となっている文書を作成した日等(契約書の作成日)から「5年以内」とされていますので、注意が必要です。
蛇足ではありますが、他の税金と同様、還付手続(多く納めた税金を返してもらうための手続)は煩雑です。
数百円のために煩雑な手続を行うのは割に合いませんので、上記「5年以内」の期間を上手に利用し、まとめて行うなどの工夫も必要です。

手続の詳細は、以下国税庁のホームページをご参照ください。
【印紙税過誤納[確認申請・充当請求]手続】
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/23120083.htm

 

おわりに

今回は収入印紙について解説しましたが、収入印紙に限らず、わざとではない誤りのケースには、何らかの救済制度があるケースがある場合が多いです。
「終わってしまった手続だからしかたない」と泣き寝入りするのではなく、何らかの救済制度がないか、専門家に相談してみるのも一案です。
また、収入印紙は「紙の契約書」を作成した際に貼らなければならないものであり、電子契約を活用すれば印紙の問題は発生しませんので、この点も踏まえて契約の取り交しの手段を検討されてみてはどうかと考えます。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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