業務提携の契約書を作るには?作る側を選ぶべき理由

コロナ以降「業務提携の契約書を作ってくれないか?」といったご相談が目立って増えてきているように感じます。
この業務提携の言葉、ビジネスでは非常に多義的に使われています。
弊所によくご相談のあるケースを契約の枠組みで分類してみますと

  • アフターサービスを外注する→業務委託契約
  • 他社のスペースを間借りする→賃貸借契約(転貸借契約)
  • 製造を委託する→OEM契約
  • 販路を拡大する→代理店契約、販売店契約
  • 新事業を展開する際に他社のノウハウ等を活用する→フランチャイズ契約
  • 紹介料をもらう→コミッション契約

…etc

業務提携の幅の広さと、ケースによって全く違った契約の枠組みになることに驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

世の中には「業務提携契約書の雛形」も存在していますが、雛形という都合上、上記のような多義性はほとんど考慮されておりません。
業務提携に関しては、その雛形をベースに考えてしまうと、実情とどんどん離れていってしまうことが多いので、注意が必要です。

業務提携の契約書を作るには、

  • 業務提携を誰とする?
  • 業務提携の内容は?
  • 業務提携の範囲は?
  • 業務提携の期間は?
  • 業務提携での成果の帰属は?収益の分配は?

といった、基本的な事項をきちんと確認しつつ、雛形にとらわれず、契約条件を作り込んでいくことが必要です。
100通りの業務提携があれば、100通りの業務提携契約書があるようなイメージです。
高度な判断が必要なことも大いにあり得ますから、場合によっては専門家に相談しながら慎重に進めてください。

 

ここで、業務提携の話がまとまり、提携先と「どちらが契約書案を作りますか?」との話になったら、チェックする側でなく、作る側を選ぶべきです。

業務提携は利害のせめぎ合いでもあります。
交渉段階で良い感触で物事がまとまったとしても、あくまでビジネスですから、お互いの利害のせめぎ合いは必ずあります。
せっかくまとまった業務提携だからこそ、ご破算とならないよう、事前にルール決めをしておくことが重要となります。

ルール決めは、土台(素案)を作った側に有利な形で進んでいってしまいます。
場合によっては、不利な条件を押し付けられる危険性も…
力関係で弱い立場になってしまうことが多い中小ベンチャー企業こそ、業務提携の際には、「ウチの会社から契約書を出します!」という積極姿勢でよりよい条件を引き出して行っていただきたいと思います。

「こちらから契約書を出すと、この業務提携の話が無くなってしまいそうで怖いです…」
こんな心配をされる方もいますが、時代は変わっています。

コンプライアンスが重要視される昨今では、契約書案を出した方が「規模は小さけれど体制の整った良い会社」と好意的に評価されることも多くなってきています。

読者の皆さまもお感じになっていると思いますが、年を追うごとに世の中が「契約社会」になっています。
これまで以上に、戦略的に契約書を活用していくことをおすすめいたします。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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