起業家に求められる影響力を与える話し方の極意

想いをカタチにしようとチャレンジし続ける起業家として、会社を代表して自社の魅力をアピールするために、また組織のリーダーとして求心力を高めるために影響力を与える存在でありたいですね。

とはいっても、日本において私たちは、「不言実行」、「沈黙は金、雄弁は銀」、「巧言令色少なし仁」、「剛毅木訥 仁に近し」等、言わなくてもわかるという文化の中で育ってきました。
そのために、わざわざ口に出して自分の想いを語ることを軽視してきた歴史的文化的背景のもとで、コミュニケーション概念は発達しなかったといわれています。

しかし、価値観が多様化している今の時代は、遅ればせながら日本でも有言実行型のリーダーが求められてきています。
(このことは、表向きは理解していているのですが、言わなくてもわかるでしょ派がまだまだ多いと経営者スピーチコンサルの現場で感じています。)

そこでここでは、自分の持ち前の魅力を発揮して相手に影響力を与え、人を動かすプレゼンテーションのヒントをお伝えいたします。

「影響力」とは、相手の心を動かす力
デール・カーネギーの名著「人を動かす」の中で、「人を動かす秘訣は、みずから動きたくなる気持ちを起こさせること」と影響力について定義づけています。

人を動かすには、相手の中に「自分から動きたくなる気持ち」を湧き起らせる必要があり、人は共感することで、行動を起こします。

ビジネスにおいて共感マーケティングという概念が世界中に広がり、その手法として「ストーリー」が重視されるようになって以降、社内の人材開発や組織改革において、また自社の DNA・価値観・想い・暗黙知を伝え合い共有する方法として、リーダーシップにおける「ストーリーテリング」という手法への関心が高まってきているのが世界の潮流です。

「ストーリーテリング」とは、伝えたい想いをそれをイメージさせる印象的な体験やエピソードなどの物語を用いることによって聞き手に強く印象付ける手法です。
抽象的な言葉や情報よりも相手の記憶に残りやすく、人は無意識に物語をイメージし、自分事として内省を促したり、自分にとって価値ある教訓を導き出したりすることができるのです。

脳科学の研究によりますと、物語を聞くことで脳が活性化され、共感を高める脳内伝達物質オキシトシン(別名:共感ホルモン)が分泌されることが判っています。
話し手は物語を語ることで聞き手の感情を動かし行動に駆り立てることが出来るのです。

ストーリーテリングの第一人者である元世界銀行理事のステファン・デニングが著書『ストーリーテリングのリーダーシップ~組織の中の自発性をどう引き出すか~』の中で、大きな変化を実現するために働きかける時に、唯一効果があったのはストーリーを語ることだった、と述べているように、企業のリーダーが理念の浸透を図ったり、組織改革の求心力を高める目的でストーリーテリングが活用されています。

さらに、相手に与える印象という視点で見ていきましょう。下の図をご覧ください。

「話の内容」(言語情報)を伝える際に重要なことは「どのように伝えるか」という非言語情報=ノンバーバルコミュニケーションです。
視覚情報と聴覚情報は、右脳にある大脳辺縁系に作用され、言語情報は左脳にある前頭前野に作用されるといわれています。

つまり、話の内容とノンバーバルな要素はそれぞれ別なところに作用されるわけですから、「内容さえ良ければ良い」でもなければ「喋りが上手なら良い」でもない、両輪がうまくかみ合わなければ、相手の心を掴む話し方にはならないということです。

 

<マーティン・ニューマン>
彼は2020年の東京オリンピックを招致したプレゼンテーションをトレーニングした、スピーチトレーナーです。
実はマーティン・ニューマン氏は、元はスピーチライターでした。
彼は、演説は内容をいかにノンバーバル(非言語)コミュニケーションを使って伝えるかがが重要である、ということに気付き、スピーチライターからスピーチトレーナーに転身し、見事カリスマトレーナーとなりました。

 

言葉のチカラ+声のチカラ+コミュニケーション力を持ってリーダー自らの熱量でストーリーを語り、相手の心を開き動かし、“影響力”を高めていけますように!

 

 

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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