コロナ禍における予定納税の対応策

コロナ禍で落ち着かない日々を送っている起業家の方が多いと思います。
持続化給付金などの支援策や新型コロナウイルス感染症特別貸付などがありますが、税務に関する意外と見落としがちな予定納税の対策について説明したいと思います。

3月決算の法人が多いと思いますが11月は予定納税があります。
予定納税は、新型コロナウイルスの影響が比較的軽微だった昨年度の税額の約半分を納税しなければなりません。
しかし、多くの起業家にとって、今期の決算は大幅な減益となっている場合が多く、予定納税の支払いは大変だと思います。

そこで検討すべき方策がいくつかあります。

 

仮決算による中間申告

昨年度の利益に対する税額の約半分を納税する予定納税にかえて、年度の中間期までの期間で仮決算(中間決算)をして税額を計算することができます。
その結果、前期に比べて大幅に減益していれば、納税額を大幅に抑えることが可能です。

 

簡易な手続きによる期限延長

予定納税や中間申告が期限内に申告納付がむずかしい場合は、原則として、督促状が送付されることになっています。

ここで、慌てる起業家の方も多いと思いますが、納付が出来るようになった段階で、申告書や納付書の余白に、電子申告の場合は、「電子申告及び申請・届出による添付書類の送付書」に新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請と記載すれば、延滞税なしで期限を延長することができます。

また、既に送付された督促状はその効力を失うことになっています。

但し、予定納税の申告書提出日以降は、延滞税の対象となるので、簡易な手続きによる期限延長は、申告書提出前に納付を先に済ませてください。

なお、期限内に申告納付することが困難な状態が、確定申告書の提出期限まで続く場合には、中間申告書は新型コロナウイルス感染症の影響により提出できなかった旨を確定申告書に記載することにより、中間申告により納付する法人税及び消費税は生じないこととなります。

 

新型コロナウイルスによる特例猶予

令和2年 2 月以降の任意の期間(1か月以上)において、新型コロナウイルスの影響により事業収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少している場合には、無担保延滞税なしで納税の猶予(予定納税や中間申告の場合は、確定申告期限まで)が受けられます。

納付すべき国税の納期限までに申請書の提出が必要ですので、期限内に申請し忘れることがないように、注意が必要です。

ただ、外出自粛や休業要請などにより通常の業務体制が維持できないといったやむを得ない事情があれば納期限後の申請も認められているようです。

おわりに

これから、多くの企業が予定納税の納付期限を迎える時期となります。
コロナ禍で、予定納税どころではないという起業家の方が多いかと思いますが、税務上は、様々な対策が、講じられていますので、これらを活用して、コロナ禍を乗り切ってください。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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