契約書に製本テープを貼らないようにする裏ワザ

1.はじめに

契約書に関するご相談をお受けする中で多いのが、
「製本テープを貼るのがめんどくさい」
「製本テープ上に契印(割印)をするのを忘れてしまいそう」
「製本テープ上の押印は印影が擦れてしまうことが多く苦手だ」
「相手の契印(割印)のことまでフォローするのは面倒」

といった、契約書の製本に関するものが多いです。
これを解消する「裏ワザ」(…とまで言えないかもしれませんが)があります!
本稿ではそれを解説していきます。

 

2.なぜ製本テープを貼るのか?契印(割印)を押すのか?

まず、そもそも論として、なぜ製本テープを貼ったり、契印(割印)を押したりといった「めんどくさい」ことをする必要があるのでしょうか?

当然ながら、重要な意味があります。それは、
改ざん(差し替え)の防止のため
です。

契約書に製本テープを貼らず、そして契印(割印)もなく、ホチキス止めだけをした状態だったら…
相手に悪意(法律的ではなく一般的な意)があったら、いくらでも改ざん(差し替え)が可能です。
例えば、トラブル発生時に、

  • 損害賠償
  • 違約金
  • 契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)

などの、お金が絡み、かつ、契約条件の根幹にかかわる項目が改ざんされてしまったら…
最悪結果(例えば、改ざんした内容が裁判で認められ、相手に有利な内容で支払義務が発生してしまうケースなど)となってしまうことも想定されます。

そういったことがないように「めんどうくさい」ことをする必要があります。

 

3.「めんどうくさい」ことをしないようにするには

話を戻します。
製本テープを貼り、契印(割印)を押すといった「めんどくさい」ことをしないようにする方法は大きく次の2パターンが考えられます。

それは、

  • (1)契約書をコンパクトにする
  • (2)電子契約にする

それぞれについて解説をします。

 

(1)契約書をコンパクトにする

「めんどくさいこと」の正体は、改ざん(差し替え)の防止のためでした。
これを逆手にとって、改ざん(差し替え)ができない状態にする方法が考えられます。

具体的には、
①文字を小さくして、
②印刷可能範囲をギリギリまで広げ、
③両面印刷をする
です。

付記すれば、
・A3の用紙に、
・両面印刷をする

この範囲に契約書をコンパクトにできれば「めんどくさいこと」をせずに済みます。
A3用紙両面は、A4用紙4枚分です。たいていの契約書は、これだけのスペースがあれば、条件を網羅することができるのではないでしょうか。

 

(2)電子契約にする

「契約書を紙で取り交わしているからめんどくさいんだ」という考え方です。 以前は、法的に有効な電子契約とするには、紙で取り交わす以上に「めんどくさい」対応が必要でしたが、最近では便利なツールも次々とリリースされてきています。

製本テープや割印(契印)から解放されるほか、印紙を貼らずに済むという大きなメリットもあります。
こちらについては、別コラムで解説します。

 

4.さいごに

上述のようなご提案をご依頼者さまにすると、一見単純なことながら、
「事務負担が大幅に減った!」
と大変喜ばれます。

「製本テープが貼ってあって割印(契印)が押されていないと法的に有効な契約書として認められない」と、法律などで決まっているわけではありません。

電子契約の導入については、ツールの導入や社内への展開が必要なため、ハードルがありますが、紙の契約書をコンパクトにすることは、すぐに取り組めます。

ご参考にしていただければ幸いです。

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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