2019/03/11 投稿

時効に注意!売掛金が請求できなくなる!?

武蔵浦和法律事務所 代表弁護士 峯岸孝浩

前回、売掛金回収に必要な「証拠」に関するお話をしました。

今回は、商品やサービスを提供したのに代金を回収できなくなるという、理不尽にも思える「消滅時効」についてお話しします。

 

取引先に自社の商品やサービスを提供すれば、売掛金として代金をいただくことができます。
すなわち、代金を回収する権利が発生します。

取引先が支払期日を守って代金を支払ってくれればよいのですが、ときには、資金繰りを理由に支払を先延ばしされることもあるでしょう。
取引先がお得意様だったり、知人の紹介だったりすると、強く催促できないかもしれません。
弁護士に依頼して裁判をするのはハードルが高いと思われます。

そのため、代金の支払を受けられないまま長期間経過してしまうことは、珍しくありません。

しかし注意が必要です。

商品や代金を提供してから一定期間が経過すると、時効を主張され売掛金が消滅してしまうのです。
たとえ契約書や発注書などの証拠が揃っていたとしても、取引先は代金の支払を拒むことができるのです。

理不尽に思えるかもしれませんが、民法や商法がこの消滅時効の制度を定めています。

 

売掛金の時効期間は、サービス内容によって違います。
代表例は以下の通りです。

 

  • 商取引の原則       5年
  • 工事の請負代金      3年
  • 商品の売買代金      2年
  • 運送代,宿泊代,飲食代  1年

 

※民法改正により、2020年4月1日以降に発生した売掛金の時効は「5年」になります。

時効期間は長く感じるかもしれませんが、日々の仕事に追われて回収を後回しにしていると、気づいたときには時効期間が経過してしまっていることは少なくありません。

 

売掛金が時効により消滅してしまわないよう、契約書や発注書などの証拠を確保したうえで、速やかに売掛金を回収する必要があります。

 

もちろん、支払が遅れることそのものが異常事態ですので、時効期間とは関係なく、売掛金の回収を速やかに行うべきであるのは言うまでもありません。
取引先から「資金繰りが悪いから待ってくれ」と泣きつかれることがあっても、起業家はときに非情な決断をしなければならないこともあります。
なぜなら、情にほだされて支払を待っていると、泣きついてきた相手が消滅時効を理由に支払を拒むからです。

経営とは「権利の上に眠る者は保護されない」ということなのかもしれません。

 

このコラムは協議会メンバーが執筆しています。
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